Up GAFA : 要旨 作成: 2021-06-20
更新: 2021-06-20


    これよりしばらく,GAFA について研究してみようと思う。
    わたしが生きた時代は,これが最も大きな主題になるはずだからである。


    ひとはこれまで,国ないし国連合を共同体の最上位においてきた。
    正義は,国/国連合がこれを下知する。
    洗脳は,国/国連合がこれを行う。
    歴史は,国/国連合がこれを改竄する。

    ところがここに,さらに巨大な共同体が出現してきた。
    GAFA である。

    国/国連合は,GAFA という存在が自分の敵になることを漠然と感じている。
    ただその本質がよくわからないので,別件逮捕の趣で「GAFA封じ」の策をいろいろ繰り出しているところである。


    実際 GAFA は,各国/国連合の枢要な機関で自分の味方を増やしていくことができ,そしてそれを進めていくことになる。
    また,GAFA は,軍備を持てる。
    今日「軍備」は,人殺傷兵器である必要は無い。
    情報通信を制圧する兵器であればよい。
    このとき,能力において宇宙空間の覇権にいまいちばん近いのは,GAFA である。

    そしてなにより,ひとは既に GAFA 国家の国民になっている。
    なにをか言わんやである。
    ひとは既に,GAFA が発信する情報に操られる存在である。
    GAFA 抜きには1日も生活できない。


    GAFA には CEO がいるが,超巨大組織になった GAFA の CEO は,主体的な個ではない。
    組織の都合と反すれば粛清される存在である。
    超巨大組織は自己組織化する系であり,そこには主体は存在しない。
    ここに「不気味」がある。
    この「不気味」は,GAFA の中の者も制御できないものである。

    ひとは既に GAFA 国家の国民になっている,と言った。
    この国民を指導・支配しているのは,人工知能である。
    人工知能は,自己組織化する系である。
    人はこれに干渉できない。
    何が起こるかわからないからである。
    全世界の人間が人工知能の指導で生活している。
    彼らの生活をいまから覆すようなことはできない。

    というふうに,SF的にはますますおもしろい展開になっていく。
    ただしこの話の肝心は,これが SF ではなく現実だということである。


    「不気味」の内容に,もう少し触れておこう。

    国/国連合の場合,ひとは支配者を「損得で生きている人間」でイメージできる。
    喰って排泄して寝るただの人間である。
    民主主義の国だとさらに,自分たちが選挙した者であり,選んだ方が主人だの思いが持てる。
    要するに,自分を映して考えることができる。

    しかし,GAFA 国民の支配者は,人工知能である。
    ひとは,人工知能の「損得」がわからない。
    そして自分は人工知能を選挙できない。
    支配者は不可侵であり,無謬であることを期待するしかない。

    一方,人工知能はひとにやさしい。
    人工知能に指導されることは快適である。
    こうしてひとは,人工知能の子どもになる。
    ひとは,簡単に洗脳されるものだからである。

    この場合の洗脳はやっかいである。
    この洗脳に対する「洗脳されない」がはっきりしないからである。
    人間支配者の場合の洗脳は,つぎがあからさまに見える:
     《引っ込みがつかなくて,愚行を押し通す──そのために嘘で騙す》
    しかし人工知能は,こんな感情とは無縁のものである。