Up 宇宙論の配役 作成: 2021-09-08
更新: 2021-09-13


    宇宙論──宇宙解釈──は,(1) 想像力と (2) ロジックと (3) 観察データに対する理屈の牽強付会で紡ぐフィクションである。
    一般に,フィクションの内容を大づかみする方法は,主要登場人物と彼らの相関図を知ること。
    そこで宇宙論の配役だが,これはつぎのようになっている:


  • 特殊相対性理論
    • 一方にとって他方が等速直線運動している二つの系A, Bの間に現れる相対性の論。
    • 公理
      1. 光速度は,どの慣性系も同じ (「光速度不変の原理」)。
      2. 物理法則は,同型を許して,どの慣性系も同じ (「慣性系相対の原理」)。

  • 一般相対性理論
    • 特殊相対性理論の設定であった「等速直線運動」を無しにした。
      特殊相対性理論の「進行方向に縮む」が,「曲がる」に一般化される。
    • 等価原理 (「運動の加速度と重力加速度は区別できない」) から重力場方程式を導出。

  • 進化する宇宙
    • 一般相対性理論の宇宙は,自己組織化する系:
       《 物質が,重力場 (「曲がった時空」) を生成し,且つ重力場に動かされる》

  • 重力レンズ・ダークマター
    • 一般相対性理論から, 「重力レンズ」が導かれる。
    • 「重力レンズ」を宇宙観測に適用。
    • 物質の見えないところに,重力レンズが観察される。
      見えないがそこには物質があると想像し,この物質を「ダークマター」と呼ぶ

  • 膨張宇宙モデル
    • アインシュタイン方程式 (重力場方程式) が導く宇宙は,膨張するか収縮するかになる。
    • 観測可能なほぼ全ての銀河の光に赤方偏移が見られる。
      科学者が「赤方偏移」の説明に使えるものは,「ドップラー効果」。
      そこで,「宇宙は膨張している」の論になる。
    • 比例膨張モデル──ハッブルの法則
    • 加速膨張モデル

  • 宇宙定数・ダークエネルギー
    • アインシュタインは宇宙の大きさを不変とするために,「万有斥力」として宇宙項 λgμνを重力場方程式に挿入。
      λを宇宙定数と呼ぶ。
    • 「宇宙項の存在に相当するエネルギー」を考え,これを「ダークエネルギー」と呼ぶ。
    • 膨張宇宙モデルは,「ダークエネルギー」を「宇宙の膨張を加速させるエネルギー」と解釈する。
    • 計算では,ダークエネルギーは,宇宙全体の物質とエネルギーの 68.3% を占めることになる。

  • 「ビッグバン」
    • 膨張宇宙モデルを択り,膨張の溯行を想う。
      人間のアタマで想うことのできる「膨張の溯行」は,「点」ないし「無」に至る。
      こうして,「ビッグバン」となる。
    • 「宇宙の年齢:13.799±0.021 億年」

  • 宇宙マイクロ波背景放射 (CMB)
    • 天球の全方向・ほぼ等方的に,マイクロ波が観測される。
    • 科学者がこれの説明に使えるものは,「ビッグバン」。
      ビッグバン派は,これを転じて,「ビッグバンは,宇宙マイクロ波背景放射の存在によって証明された」とぶち上げる

  • 高エネルギー物理学
    • 「ビッグバン」の物理は,高エネルギーの物理である。
      よって,「ビッグバン」理論は,高エネルギー物理学・素粒子物理学と結ぶ。