宇宙論──宇宙解釈──は,(1) 想像力と (2) ロジックと (3) 観察データに対する理屈の牽強付会で紡ぐフィクションである。
一般に,フィクションの内容を大づかみする方法は,主要登場人物と彼らの相関図を知ること。
そこで宇宙論の配役だが,これはつぎのようになっている:
- 特殊相対性理論
- 一方にとって他方が等速直線運動している二つの系A, Bの間に現れる相対性の論。
- 公理
- 光速度は,どの慣性系も同じ (「光速度不変の原理」)。
- 物理法則は,同型を許して,どの慣性系も同じ (「慣性系相対の原理」)。
- 一般相対性理論
- 特殊相対性理論の設定であった「等速直線運動」を無しにした。
特殊相対性理論の「進行方向に縮む」が,「曲がる」に一般化される。
- 等価原理 (「運動の加速度と重力加速度は区別できない」) から重力場方程式を導出。
- 進化する宇宙
- 一般相対性理論の宇宙は,自己組織化する系:
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物質が,重力場 (「曲がった時空」) を生成し,且つ重力場に動かされる》
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- 重力レンズ・ダークマター
- 一般相対性理論から, 「重力レンズ」が導かれる。
- 「重力レンズ」を宇宙観測に適用。
- 物質の見えないところに,重力レンズが観察される。
見えないがそこには物質があると想像し,この物質を「ダークマター」と呼ぶ
- 膨張宇宙モデル
- アインシュタイン方程式 (重力場方程式) が導く宇宙は,膨張するか収縮するかになる。
- 観測可能なほぼ全ての銀河の光に赤方偏移が見られる。
科学者が「赤方偏移」の説明に使えるものは,「ドップラー効果」。
そこで,「宇宙は膨張している」の論になる。
- 比例膨張モデル──ハッブルの法則
- 加速膨張モデル
- 宇宙定数・ダークエネルギー
- アインシュタインは宇宙の大きさを不変とするために,「万有斥力」として宇宙項 λgμνを重力場方程式に挿入。
λを宇宙定数と呼ぶ。
- 「宇宙項の存在に相当するエネルギー」を考え,これを「ダークエネルギー」と呼ぶ。
- 膨張宇宙モデルは,「ダークエネルギー」を「宇宙の膨張を加速させるエネルギー」と解釈する。
- 計算では,ダークエネルギーは,宇宙全体の物質とエネルギーの 68.3% を占めることになる。
- 「ビッグバン」
- 宇宙マイクロ波背景放射 (CMB)
- 天球の全方向・ほぼ等方的に,マイクロ波が観測される。
- 科学者がこれの説明に使えるものは,「ビッグバン」。
ビッグバン派は,これを転じて,「ビッグバンは,宇宙マイクロ波背景放射の存在によって証明された」とぶち上げる
- 高エネルギー物理学
- 「ビッグバン」の物理は,高エネルギーの物理である。
よって,「ビッグバン」理論は,高エネルギー物理学・素粒子物理学と結ぶ。
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