Up 気象庁 放射性物質拡散予測の公表へ 作成: 2011-04-05
更新: 2011-04-05


    (2011年4月4日14時30分 読売新聞)
    日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測

     東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。

     ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。

     気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

     同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1〜2回、拡散予測を計算している。具体的には、IAEAから送られてきた放射性物質の放出開始時間や継続期間、どれくらいの高さまで上ったかを、風向きや天候など同庁の観測データを加えた上で、スーパーコンピューターに入力し、放射性物質の飛ぶ方向や広がりを予測している。



    (2011年4月4日16時46分 読売新聞)
    気象庁拡散予測「公表すべきだった」…官房長官

     東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が放射性物質の拡散予測を連日行いながら、公開していなかったことに関し、枝野官房長官は4日午後の記者会見で、「少なくとも隠す必要のない情報。誤解を生まない説明を付けて、公表すべきだった」と述べた。

     気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

     同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1〜2回、拡散予測を計算している。



    (2011/04/04 21:02 【共同通信】)
    気象庁に拡散予測の公表指示 放射性物質で枝野氏

    枝野幸男官房長官は4日午後の記者会見で、気象庁が作製している福島第1原発からの広範囲にわたる放射性物質の拡散予測を、速やかに公表するよう同庁に指示したと明らかにした。

     気象庁は「地球規模の拡散を予測するもので、国内の防災対策に適切なデータとは思わないが、説明を加えた上で公表したい」としている。

     枝野氏によると、気象庁の予測は一定量の放射性物質が漏れたと仮定し、原発周辺の気象情報に基づく拡散状況を100キロ四方ごとに計算。国際原子力機関(IAEA)が世界各国への影響を把握するために作製を要請したという。枝野氏は「隠す必要がない情報であれば、誤解がないよう十分な説明を付けて公表するべきだ」と述べた。

     気象庁は、これまで公表していなかった理由について「予測の基となるIAEAからのデータは実際の観測値ではなく仮定の数値のため、予測精度も低くなる。国内では、文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が正式な拡散予測」と説明している。

     同庁企画課によると、東日本大震災では、発生当日の3月11日から毎日1、2回予測し、直接IAEAに報告。IAEAから指示された原発の位置や放射性物質が放出された高度と期間、放射性物質の種類などのデータをコンピューターに入力、風向きなどに基づいて予測しているという。