遺伝子配列の解読は、現在では完全にオートメーション化されている。
DNAシークエンサーという装置に、cDNAの反応液を注入すると、自動的にその解析結果がコンピューターに出力される。
あるいは、今では研究者はその操作すら行っていない。
cDNAを検査会社に郵送すると、数日後にデータがメールで届く。
完全にアウトソーシングされているのだ。
そしてその間に行われていることは完全にブラックボックス化している。
だから、遺伝子配列の解読が、いったいいかなるプロセスで実行されているのか、ほとんどの研究者は気にしていない。
学生たちに、遺伝子配列解析の原理を問うても、ちゃんと答えられるかどうかはなはだ疑問である。
私たちがこの研究に取り組んでいる頃、すべては手作業でなされていた。
遺伝子配列解読はかなり煩雑な段取りを必要とし、集中力がいる難作業であった。
また、それが研究者の腕の見せどころでもあった。
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