Up CRISPR/Cas9 以前 作成: 2018-05-08
更新: 2018-05-20


  • 「遺伝子導入」
    1. 遺伝子断片の用意
      • 作成:制限酵素 (D- endo- ヌクレアーゼ) で切断
           リガーゼで接合
      • 「制限酵素地図」
      • 遺伝子バンク
    2. 遺伝子断片の注入
      • <相同組み換え>のメカニズム(註1)によって,遺伝子内に収まる
  • 「遺伝子ターゲティング」
  • ZFN
  • TALEN (TALE ヌクレアーゼ)

  • CRISPR/Cas9 の登場で,旧態化(註2)


  • 参考ウェブサイト

  • 参考文献
    • 小林雅一『ゲノム編集とは何か──「DNAのメス」クリスパーの衝撃』, 講談社現代新書, 2016.
    • Knoepfler, P. (2016) : GMO Sapiens ── The life-changing science of designer babies. World Scientific Publishing
      • 中山潤一[訳]『デザイナー・ベビー ──ゲノム編集によって迫られる選択』, 丸善出版, 2017.
    • Doudna, J.A., Stemberg, S.H. (2017) : A crack in creation ── Gene editing and the unthinkable power to control evolution.
      • Houghton Mifflin Harcourt
      • 櫻井祐子[訳]『CRISPR──究極の遺伝子編集技術の発見』, 文藝春秋, 2017.


    註1. 「<相同組み換え>のメカニズム」
      Doudna, J.A.『CRISPR──究極の遺伝子編集技術の発見』, p.49
    ゲノム上の欠陥遺伝子を,実験室で構築した正常な遺伝子で置き換えたい場合,
    まずどうにかして欠陥遺伝子を切り離して DNA 二本鎖を局所的に切断し,
    そこに修復された遺伝子コピーを供給する。
    細胞は切断を知ると,相同な染色体を探して損傷を修復しようとし,
    そこで合成遺伝子をみつける。
    要するに,細胞を欺いて自然な DNA 損傷が起こったと思わせ,そこへもう片方の染色体に見せかけた新しい DNA を供給し,それを使って切断部位を修復させるというわけだ。

    註2.「旧態化」
      小林雅一『ゲノム編集とは何か』, pp.154
    従来の遺伝子組み換えでは、
    1. 「制限酵素によるDNAの切断」や「遺伝子導入」、あるいは「相同組み換え」や「伝統的な交配作業」など、複数のステップを組み合わせる必要がある。
    2. 各々のステップを見ても、たとえば「DNAを切るための制限酵素が、実はDNAを好きな場所で切ることができない」など厳しい制約を課せられている。
    3. 遺伝子組み換えの根幹である「相同組み換え」が、たとえばノックアウト・マウスのように「100万分の1」といった極めて低い確率でしか、狙った通りに起きない。
    4. 従来の遺伝子組み換えは、極めて汎用性に乏しい。
    これらの問題や限界はノックアウト・マウスのみならず、「GMO (遺伝子組み換え作物)」や「バイオ医薬品」等、従来の遺伝子組み換えがカバーする全ての分野について言えるととなのである。
    これが結果的に、開発期間の長期化や高コスト化を引き起こしていた。