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井庭崇・福原義久『複雑系入門』, NTT出版, 1998.
p.2.
「生きている」システムは,要素に分解して理解することができない。
なぜなら,同じ要素でも全体の文脈の中でその振る舞いが変化し,それによってまた全体が変化するという循環的な仕組みになっているからである。
このような「生きている」システムのことを理解するために,「複雑系」という新しいシステムのとらえ方が注目されているのである。
p.3.
「生きている」システムの原理は,それを構成している物質を突き詰めてみても理解できない。
「生きている」システムは,それを構成する物質ではなく,その組織化のあり方に本質が隠されているからである。
p.6
システムを構成している要素は各自のルールに従って機能しており,局所的な相互作用によって全体の状態・振る舞いが決定される。
そしてそれらの全体的な振る舞いのもとに個々の構成要素のルール・機能・関係性が変化していく。
p.9
人々は限られた視野やコミュニケーションによって行動をしているが,やがて全体として文化のような大域的特性が生まれてくる。
その文化に影響され,それぞれの人の行動も変わってくる。
そして,それがまた新しい大域的な性質をつくるという循環が繰り返される。
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