Up 『風邪を理解する』: おわりに 作成: 2024-09-03
更新: 2024-09-03


    風邪は,ひとが付き合っていくものである。
    ひとと風邪ウィスルは共生関係にある。
    生物の進化の歴史は,この関係をつくることになった。

    しかしテクノロジーの進歩とともに,ひとはますます尊大になり自惚れるようになる。
    嫌なものには退治の構えで臨むようになる。
    そうすると,自然の生き物がそっくりその対象になってくる。
    怖いし,気持ち悪いからである。

    ここに駆除剤が登場する。
    ひとは,除菌・除草・除虫にのめり込む。
    そしてひとは,これの延長で「風邪薬」を考える。
    風邪薬を,風邪のもと を退治する薬だと思う。


    風邪が治るのは,風邪ウィルスを鎮圧する機能が体に備わっているからである。
    薬や医者の出る幕は,ここには無い。
    薬や医者がこのときできることは,何も無い。

    ひとは,病気を治すものが自分の内にあることを知らない。
    病気を治すものを,外にあるものとして思う。
    その「外にあるもの」に,「薬」や「医者」がフィットすることになる。

    ひとの医療漬けは,ひとのこの思考様式がもとになっている。
    後は医事薬事産業がこれを利用するだけ,というわけである。

    ひとは,薬や医者が風邪を治していると思う。
    薬や医者の<風邪を治しているかのような装い>に騙されるのである。
    薬や医者が<風邪を治しているかのような装い>をするのは,これが商売だからである。
    ひとは薬や医者が風邪を治していると思って,薬や医者に金を払う。


    科学の時代にも,ひとは迷信の中に棲み空回りする。
    迷信の方が,性に合うからである。
    この点で,ひとは太古から変わるものではない。