Up 風邪の咳 作成: 2024-08-31
更新: 2024-08-31


    ひとは,風邪をひくと咳をするものだと思っている。
    これは間違いである。

    風邪ウィルスは,人の咽頭の細胞を繁殖場所とし,抗体が発動されて制圧されるまでの間,そこで繁殖する。
    風邪は咽頭の出来事であり,気管支・肺に至る出来事ではない。


    体は,呼吸の経路に異物があるのを感じると,これを咳で除こうとする。
    風邪で咳が現れるのは,咽頭の感染に,体が異物感をもつからである。

    この咳は,ただ無用である。
    そしてこれで異物感がとれるわけではないので,この咳は繰り返されることになる。
    (から)咳がとまらない」というわけである。

    咳は,肺・気管支のストレスになる。
    ストレスは,昂じると炎症に進む。
    肺・気管支にもともと持病のあるものは,それを悪化させてしまう。
    風邪で死ぬ者がいるが,それはこのケースである。


    空咳は,うがいで抑えることができる。
    体が「異物が除かれた」と思ってくれるというわけである


    しかしひとは,咳を病気だと思い,そしてこれは薬で治すものだと思っている。
    その薬は,脳の咳中枢を抑制し,併せて気道を広げるということをする。
    薬は,治すのではない。
    体を歪めることで,除きたいものを散らすのである。

    薬の常用は,咳中枢の慢性的過敏と気道の慢性的拡張へ導く。
    咳中枢が過敏になるのは,薬によって感度が悪くされた咳中枢は,<感度を上げる>を以て応じようとするからである。


    ひとは薬を栄養かなんかのように思っているが,薬は<毒の逆用>である。
    「毒を以て毒を制する」が薬のロジックである。
    もともと毒でないものに毒を用いるのは,体を(いびつ)にし,弱らせるだけである。
    この(ことわり),よくよく吟味すべし