Up 不確定性原理 作成: 2020-01-15
更新: 2020-01-15


    ド・ブロイ波の中の粒子を測定しようとする。
    測定しようとするのは,粒子の運動軌跡である。
    粒子の運動軌跡は,光をこれに当てて見る。

    このとき,この設定の含蓄として,位置測定の誤差 Δx と運動量測定の誤差 Δp がつぎの関係になる:
        Δx Δp ≒ h

    これは,Δx を小さくしようとすると Δp が大きくなり,Δp を小さくしようとすると Δx が大きくなる,という関係になっている。
    したがって,誤差 ΔxΔp が運動の追跡を阻むほどに微妙な粒子運動は,捉えられないことになる。
    実際,電子線の中の電子は,この例になる。

    Δx Δp ≒ h」は,W.K.Heisenberg (独, 1901-1976) がこれを導いた。
    そこで彼の名を冠して,「ハイゼンベルクの不確定性原理」と呼ばれる。

    この原理について,「測定の限界を述べたものではなく,物の本質的あり方を述べたものだ」と言う者がいる。 ──「粒子と波動の二重性」のことばを好む者に多い。
    これは虚言である。
    不確定性原理は,測定の限界を述べたものである。