特殊相対性理論との関係
一般相対性理論における時空間は,数学的には各点の接ベクトル空間にミンコフスキー計量をいれた4次元多様体(ローレンツ多様体)で、アインシュタイン方程式を満たすものである。
よって各点の接ベクトル空間は、特殊相対性理論に従うミンコフスキー空間であり、接ベクトル空間とは、数学的にはテイラー展開の一次の項に対応している。
これはすなわち、一般相対性理論の側からみた場合、特殊相対性理論とは時空間上に任意に固定された一点の近傍において、一般相対性理論を一次近似したものである事を意味している。
なお、(宇宙項のない)アインシュタイン方程式に登場する各項(曲率やエネルギー・運動量テンソル)は、二次の微分に関わる項であり、一次近似である特殊相対性理論には登場しない。
逆に特殊相対性理論の側から一般相対性理論をみると、特殊相対性理論の数学的定式化であるミンコフスキー空間は、全ての点に同一のミンコフスキー計量をいれた<平坦なローレンツ多様体>である。
この平坦なローレンツ多様体上では曲率は全点でゼロであるので、この事実を(宇宙項のない)アインシュタイン方程式に代入すると、この空間ではエネルギー・運動量テンソルがゼロである事を意味する。
また、平坦なローレンツ多様体上では共変微分と通常の微分は一致するので、全ての線形座標でクリストッフェル記号は消えている。クリストッフェル記号は物理学的には重力に対応しているので、これはすなわち全ての線形座標で重力がゼロである事を意味する。
以上より特殊相対性理論とは、エネルギー・運動量テンソルの影響が無視できる程度に、すなわち宇宙全体に比べれば微小な領域における理論であり、空間の曲率も領域の微小さゆえに無視できる場合の理論であると言える。
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