Up 「放射線のエネルギー」とは 作成: 2023-05-17
更新: 2023-05-17


    ここまで「放射線のエネルギー密度」のことばを用いてきた一方,「放射線のエネルギー」とは何かについては触れなかった。

    「エネルギー」は,仕事のポテンシャル──「どれだけの仕事をするか」──である。
    「どれだけの仕事」を表す量は,仕事量である。
    よって,「エネルギー」は仕事量で表現される。

    「エネルギー」は「どれだけの仕事をするか」であるが,「どんな仕事をするか/できるか」ではない。
    「エネルギー」は,いろいろな概念 (事象) にこれを適用しているが,「定義はできたが,それがどんな仕事をするか/できるかはわからない」といったものである。

    「放射線のエネルギー」に限っても,事情は同じ。
    「太陽放射のエネルギーを何がどう受け取ることで,どんなダイナミクスが発現し,どんな結果になるか?」──という形の問いになったら,誰も答えられない。
    しかし,定義はできる。

    放射線は,電磁波である。
    電磁波は,電磁場の伝播波である。
    電場と磁場は,それぞれエネルギーが定義される。
    したがって,電磁波は電磁場エネルギーの伝播波ということになる。
    電磁波として伝播される電磁場エネルギー,これが「放射線のエネルギー」である。
    これは,電磁場の定義から起こして計算される。


    エネルギーの値を計算する。
    計算した値は,このエネルギーがどんな仕事をするか/できるかを示すものではない。
    では,なぜ計算するのか?
    理論がこれを必要とするからである。
    直接的には,事象間のエネルギーの大きさを比較したいからである。。