Up 熱は,エネルギーではない 作成: 2023-02-23
更新: 2024-08-01


    ひとは,熱をエネルギーだと思っている。
    そこで,「熱エネルギー」のことばを使う。

    ひとは,「熱量 (カロリー)」のことばを使う。
    熱量の単位は仕事の単位 (ジュール) であり,そしてジュールはエネルギーの単位である。
    そこでひとは,「熱量」はエネルギーであり,したがって「熱エネルギー」と同義だと思う。

    結局,ひとは「熱エネルギー」のことばを「熱量」の意味で使っている。


    しかし,熱はエネルギーではない。
    したがって,「エネルギーとしての熱の量」の意味で「熱量」のことばを用いるのは,誤りである。
    また,言うまでもないが,「熱量」は統計力学の謂う「熱エネルギー」ではない。


    熱は,エネルギーの現象というものであって,エネルギーではない。
    「熱量」の意味は,「燃える物体が行う仕事量」である。
    「燃える」は,「酸化」の化学反応である。 この化学反応が仕事に使えるとき,その仕事量に対し「熱量」のことばを用いるのである。
    石炭やバターの熱量 (カロリー) は,それらの酸化反応を仕事に使うときの仕事量である。

    「酸化反応を仕事に使うときの仕事量」は,その<使う>のやり方に依存する。
    「熱量」は,物体・物質の内包として定義できる量ではない。

    これは,「熱量」は物理学の概念ではないということである。
    「熱量」は,工学や栄養学の概念である。