Up 統計力学の用語「熱エネルギー」は,空回り 作成: 2023-02-23
更新: 2024-08-01


    統計力学は,物体 (系) の「状態」を,つぎのグラフに表現する:

    そして,つぎの言い換えをする:
        「乱雑さ」→「熱エネルギー」
        「場合の数の桁数」→「エントロピー」


    併せて,温度をこのグラフの傾きとして定義する:

    ここで,用語「熱エネルギー」は,何も機能していない。
    空回りしている。


    「熱エネルギー」の用語は,勘違いから出ている。
    先ず,「エネルギー が不可逆的に熱に変わっていく」の思いがある。
    そしてここに,「エネルギー保存則」を思う。
    即ち,「エネルギーが熱に変わる」を「有効なエネルギー が無効なエネルギーであるところの熱エネルギーに変わる」と見立て,つぎの式を立てる:
      全エネルギー = エネルギー (有効エネルギー) + 熱エネルギー (無効エネルギー)

    「熱エネルギー」のこの導入により,「エネルギー は不可逆的に熱に変わる」が「系は不可逆的に熱エネルギーを増す」になる。
    これを,「系は不可逆的に乱雑さを増す」に重ねる。
    こうして,「熱エネルギー」が「乱雑さ」の言い換えになる。


    この「熱エネルギー」のことばは,空回りする。
    使いようが無いのである。

    「全エネルギー」は,妄想である。
    そして,「全エネルギー = エネルギー + 熱エネルギー」の式は,論理的にもまちがいである。
    右辺の「エネルギー」と「熱エネルギー」は,概念として別のカテゴリーになるからである。
    実際,両者を同種の量として表現する量単位を,そもそも考えていないわけである。