感染拡大を防ぐには感染細胞を早期に破壊する必要があります。
感染細胞を破壊する細胞性免疫細胞には
・マクロファージ
・キラー細胞
がありますが破壊力が強いのはキラー細胞です。
攻撃性のキラー細胞には
・自然免疫のナチュラルキラー細胞(NK細胞)
──常時体内をパトロール
・獲得免疫のキラーT細胞
──ヘルパーT細胞からの指示で感染細胞を破壊する
があります。
NK細胞は指示なしで活動する現場の警察官、キラーT細胞は政府の指示で出動する自衛隊の役割です。
キラーT細胞が属するT細胞には,キラーT細胞以外、
・ヘルパーT細胞
──ウィルス感染などでキラーT細胞を活性化、
さらにはB細胞に抗体産生を指示
・サプレッサーT細胞
──抗体産生終了を指示する
があります。
以上のT細胞はウィルス攻撃に対して連携して感染細胞を破壊します。
ではT細胞はどのようにして作られるのでしょうか?
骨髄で作られた未熟リンパ幹細胞は胸腺で
・CD4、
・CD8
の両者を持つT細胞になります。
その後、さらに分化、
・CD4のみ陽性のヘルパーT細胞
・CD8のみ陽性のキラーT細胞
となります。
なおヘルパーT細胞の中でも
・Th1が,IL-2、INF-γ などのサイトカインを分泌して,
キラーT細胞を活性化
・Th2が,B細胞に抗体産生を指示
して,ウィルスの細胞内侵入を防ぎます。
ウィルス攻撃の最強部隊であるキラーT細胞は,ウィルス感染細胞を完全に破壊します。
細胞破壊、すなわち細胞死には2つあります。
壊死とアポトーシスです。
壊死とは受動的な細胞死であり細胞膜に穴が開いたり、血流が遮断されることにより起こります。
生活習慣病である心筋梗塞、脳梗塞などは心臓、脳の血流遮断により起こります。
アポトーシスとは特定の条件を満たした場合、あらかじめ組み込まれているプログラムによる能動的な細胞死であり,細胞内のDNAが断片化、内側から崩壊する細胞死です。
ウィルスから生体が攻撃を受けると,自然免疫の樹状細胞、マクロファージが
・感染細胞を非特異的に貪食、
・感染細胞表層のウィルス特異抗原を抗原提示
します。
するとヘルパーT細胞が,IL-2、INF-γ などのサイトカインを分泌。
これが,キラーT細胞を活性化:
・パーフォリンと呼ばれる物質を放出、
感染細胞膜に穴を開けて感染細胞を破壊(壊死)
・TNF-β などの物質を放出、感染細胞にアポトーシスも起こす。
すなわち,キラーT細胞は,感染細胞を外側、内側から完全に破壊するのです。
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