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和田信一郎『土壌学』, 4.3.3. 土壌動物の生活, pp.46,47.
モグラのような巨大土壌動物に分類されるモグラやトガリネズミは動物食である.
モグラは主としてミミズを,トガリネズミはミミズや節足動物を捕食する.
大型土壌動物の代表であるミミズ(ヒメミミズではない)は落葉(腐朽したもの)や土を食べる.
土を食べるといっても,土の主成分である鉱物を利用するわけではない.
土を丸ごと食べ,鉱物と混じっている有機物やカビ,細菌を消化管内で消化する.
このため,ミミズのふんは鉱物粒子と消化利用されなかった有機物がよく混合されたものとなっており,高次構造を持つ団粒である.
シロアリ(土にすむシロアリ)やハエ,甲虫の幼虫は主として枯死した植物や腐植物質を食べている.
甲虫の幼虫の中には生きた植物の根を食べる者もおり,これらは農業にとっては害虫である.
ムカデとヤスデは形態は似ているが食性は異なる.
ヤスデは主として落葉を食べるのに対し,ムカデは顎肢に毒腺を持ち,この毒を用いて昆虫などの動物を捕食する.
ワラジムシやダンゴムシは主として落葉や腐植物質を食べる.
ダンゴムシは動物の死体や植物の芽生えも食べるので農業上は害虫である.
中型土壌動物のうちエダヒゲムシ,カマアシムシなど多くのの節足動物は腐植や微生物を食べている.
同じ節足動物であるがカニムシはより小型の土壌動物であるトビムシなどを捕食している.
ダニ類には多くの種類があるが微生物食のものと,より小さな土壌動物を捕食するものがいる.
トゲダニ,ケダニは主として捕食性で,コナダニ,ホコリダニは微生物食である.
中型土壌動物の中でも小さいトビムシやヒメミミズ,小型土壌動物であるアメーバなどの原生動物の大部分は腐植や微生物食である.
大型,中型土壌動物には,落葉などの植物遺体を食べるものが多い.
これらによる摂食によって植物遺体は破砕され,それが微生物による植物体構成有機物の利用(つまり植物体の分解)を促進する効果があると考えられる.
しかし,植物体の分解(植物体を構成する各種有機物を二酸化炭素,水などの無機物にしてしまうこと)に対する土壌動物の寄与は10%程度であり,残りの90%は微生物によって担われていると推定されている
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