Up 「母体岩石」の意味 作成: 2024-03-16
更新: 2024-03-18


    「母体岩石」の「母体」の内容は,つぎの二つ:
    1. 土壌生物・植物に,居所の材料を与える
    2. 土壌生物・植物に,栄養素 (必須元素) を与える


    植物の場合,現時点で「必須元素」と考えられているのは,つぎの 17種:
      炭素,水素,酸素,窒素,
      カリウム,カルシウム,マグネシウム,
      リン,イオウ,ホウ素,塩素,
      鉄,マンガン,銅,亜鉛,ニッケル,モリブデン


      和田信一郎『土壌学』,5.2.1. 火成岩, pp.56,57.
    原始地球には土はなかった.地球の表面に存在したのは,火成岩あるいは火成岩の融体(マグマ)である.‥‥‥ それゆえ,土がどのようにしてできたかを理解するためには,その原料としての火成岩を知ることが必要である.‥‥‥
    火成岩はマグマの冷却とそれによる固化によって生成する ‥‥‥ マグマの固化によって生成する岩石がどのようなものかを理解するには固化する前のマグマというものがどのようなものであるかを理解する必要がある.
    マグマとは,一言でいえばケイ酸塩の融体(メルト)である. ‥‥‥ 地殻の岩石はマグマが冷却することによって生じたものであるので,(現在の地殻を作った)マグマの元素組成もこれと基本的に同じである.
    主要構成元素は,酸素,ケイ素,アルミニウム,鉄,カルシウム,マグネシウム,ナトリウム,カリウムなどである.
    これらのうち,ケイ素は常に酸素と結合してケイ酸イオンとして存在している.
    上にあげたその他の元素はアルミニウムイオン,鉄イオンなどの陽イオンとして存在している.
    つまりマグマはケイ酸陰イオンと各種の金属陽イオンからなるイオン性の融体(メルト)である.
    ケイ酸イオンとは,ケイ素1個に4個の酸素が結合したイオンである.
    化学式で書けばSiO44-であり,正四面体の中心にケイ素が,頂点に酸素が位置した構造をしている..

      火成岩