Up ケイ酸塩鉱物の溶解 作成: 2024-03-18
更新: 2024-03-18


      和田信一郎『土壌学』, 5.7. 土の発達の最終段階, pp.74,75.
    いったん土が生成しても,溶解反応や不調和溶解反応は進行する.
    その結果,セキエイ以外の造岩鉱物は消失し,酸化・水酸化鉄鉱物,酸化マンガン鉱物や層状ケイ酸塩鉱物などが優勢となる.
    このうち,層状ケイ酸塩鉱物においても Si-O-Al 結合が次第に切断され,層状ポリケイ酸を構成するケイ素はモノケイ酸として溶脱する.
    その結果,層状ケイ酸塩鉱物は不安定となり,それを構成するアルミニウムは水酸化アルミニウム鉱物として残留する.
    熱帯地域にはラテライトとよばれる土が広く分布する(陸地の1/3を占める)が,この土は,酸化・水酸化鉄鉱物含量が高く,セキエイや層状ケイ酸塩鉱物のうちケイ素含量の低いタイプのものが伴う.
    溶解反応や不調和溶解反応がさらに引き続くと,ケイ酸塩鉱物は消失し,酸化・水酸化鉄,水酸化アルミニウムおよび石英のみが残留する.
    これが土の発達の最終段階である.
    これらの中で,水酸化アルミニウム含量が50%を超え,セキエイ含量が低いものはボーキサイトとよばれ,アルミニウム製錬のための鉱石として採掘されている