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『古事記伝』「書紀の論ひ」
漢籍心を清く洗ひ去て、よく思へば、天地はただ天地、男女はただ男女、火水はただ火水んて、おのおのその性質情状はあれども、そはみな神の御所為にして、然るゆゑのことわりは、いともいとも奇霊く微妙なる物にしあれば、さらに人のよく測知べききにはあらず。
然るを漢国人の癖として、己がさかしら心をもて、萬の理を強て考へ求めて、此ノ陰陽といふ名を作リ設ケて、天地万物みな、此理の外なきが如く説なせるものなり。
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進歩主義者は,自分に都合のよい存在論を,科学の趣きでつくる。
そこで,進歩主義批判は,科学に蓋をするような言辞に陥りやすい。
宣長は,ここではそうなっている。
科学に蓋をするような言辞を吐くのは,愚である。
「漢才」批判のこの部分は,他山の石とするところである。
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