Up 遺伝性と可塑性──どっち? 作成: 2019-09-14
更新: 2019-09-14


    場所AとBに,ともに種Sであるとおぼしき個体群がそれぞれ棲息していて,Aの個体は体色が赤,Bの個体は体色が青であるとする。
    このとき,体色が遺伝性と判じられれば,AとBは「亜種」と分類される。
    さらに,Aの個体とBの個体の間に交配の成らないことが見出されたとき,「AとBは別種であり,種Sの分化が起こった」と定められる。

    体色の説明は,「遺伝性」が唯一のものではない。
    即ち,「可塑性」が説明であり得る。
    Aに棲む赤い個体の卵ないし幼児をBで育てたとき,赤い成体になれば赤の体色は遺伝性ということになり,青い成体になれば赤の体色は可塑性だったということになる。
    同様に,Bに棲む青い個体の卵ないし幼児をAで育てたとき,青い成体になれば青の体色は遺伝性ということになり,赤い成体になれば青の体色は可塑性だったということになる。

    「進化」とは,形質の変化が遺伝性の場合を謂う。

    「個体の形質が場所によって違う」「個体の形質が以前と違ってきた」のうちには,「進化」であるものがあり得る。
    そうすると,「進化」はむしろ日常的なこととして考えるものになる。
    「新人類」のような表現も,あながち誇張とも言えないわけである。