Up 表現主義 : 要旨 作成: 2019-06-01
更新: 2019-06-01


    画像レタッチソフトには,「効果」という操作がある。
    元絵に効果をいろいろかけていくと,単調な絵からも,おもしろい絵が生まれる。
    元絵の内容をひどく壊さないようにすれば,これは<所与の表現>というふうになる。,

    表現主義とは,たかだかこのようなことを行うものである。
    一方,たかだかこのようなものだが,思い入れを以て対すれば,ひとはこれから啓発を受けることができる。
    なぜか。
    表現主義は常識/良識の攪乱であり,そして常識/良識の攪乱は万事啓発の元だからである。

      表現主義作品──「アート」──は,「鰯の頭も信心から」の「鰯の頭」である。
      アートを自分に輝いて見せるには,思い入れが要る。
      実際,気分・体調・主義・状況次第で,同じアートもありがたいものになったりゴミになったりする。


    哲学/思想 (科学以前) の存在論には,表現主義的なものもある。
    実際,表現主義の土壌からは,表現主義の存在論が生まれることになる。
    フランスがその場合である。
    「エスプリ」のことばが,表現主義の構えを指している。
    そして「エスプリ」で紡がれた存在論が,ポストモダンというわけである。

    ポストモダンの存在論は,単純な思考を<歪み・ひずみ>効果で粉飾したものである。
    中身は戯れ言である。
    しかし,アート作品として賞味の対象になり得る。──この場合,楽しめる作品がよい作品ということになる。

      音の遊び,色の遊びをアートにできるように,ことばの遊びはアートになる。
        Elle est retrouvée.
        Quoi ? – L’Eternité.
        C’est la mer allée
        Avec le soleil.