Up 逆説 : 要旨 作成: 2019-06-02
更新: 2019-06-02


    人間の常識は,自然の非常識である。
    したがって,常識の逆を言う方が,当たることが多くなる。
    「一理ある」となるのは,常識の逆ではなく,常識の方である。

    人間の常識が自然の非常識になるのは,常識は人間の都合だからである。
    そして人間は,生物進化の中の存在だからである。
    人間が理を論じるのは,ミミズが理を論じるのと同じである。

    理の逆が,自然に近い。
    「逆理の理」というわけだから,ことばの上では矛盾である。
    ──「逆説 paradox」


    存在を論じるとは自然の理を論じるということである。
    このとき「普遍的」の趣きを得たいならば,逆説をスタイルにすればよい。
    実際,存在論には逆説を用いるタイプのものがある。
    その断然の一番が,仏教。

    逆説のやり方は,人の常識Aに対し「Aではない」を言うのではない。
    「AでありAでなく,AでなくAである」を言う。
    「色即是空 空即是色」のようにである。

    この言い方は負けることがない。
    よって安直に使われるようになる。
    禅がこれである。