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Ennos (2020), pp.126,127
‥‥‥木はすべて同じではない‥‥‥
分類学上の二大グループである広葉樹と針葉樹とでは、生物学的特徴が大きく異なるのだ。
広葉樹は針葉樹に比べて道管の効率が高く、若木のときに速く成長できるため、気候と土壌が適した地域では針葉樹を圧倒して植生を支配する。
樹冠が枝分かれしていて大きく、枝が湾曲しており、多くの種類は切り倒されても切り株から新芽を生やしたり根から再生したりする。
また広葉樹林は、枯れ葉によって土壌が肥沃になる傾向がある。
それに対して針葉樹が原生するのは、北方や高山や半砂漠といった、霜や旱魃によって広葉樹が枯れてしまう、植物の成長に適さない条件の地域と、土壌が薄くて痩せている地域に限られる。
また針葉樹の葉は土壌を酸性化し、もともと少量しかなかった栄養分を土の中に閉じ込めてしまう。
さらに、針葉樹は広葉樹よりも枝分かれがはるかに少ないため、幹がまっすぐで節が少なく、均一である。
ほとんどの種類(註)は切り倒されると枯れてしまい、苗木からしか再生しない。
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- 引用文献
- Ennos, Roland (2020) : The Age of Wood ── Our most useful material and the construction of civilization.
- Scribner, 2020.
- 水谷淳[訳]『「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る』, NHK出版, 2021.
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