Up はじめに 作成: 2010-07-18
更新: 2010-07-18


    先月の22日 (2010-06-22),「財政運営戦略」が閣議決定された。 そしてこれの「中期財政フレーム」において,2011(平成23)年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこととされた。

    これに対し,国立大学はつぎの計算をする:

      社会保障関係経費が,年額約1.3兆円の伸びを示している。
      これを賄う方法は,「政策的経費」の削減である。
      この場合,「政策的経費」が,来年度以降3年間,年率8%減となる。
      これを機械的に,「国立大学法人運営費交付金」に適用すると,削減額は,3年間で約2,800億円 (単年度で927億円)となる。
      ちなみに,この額は,2004(平成16)年度から2010(平成22)年度の6年間の削減額の総合計 (830億円) を大きく上回る。

    そして,予想される経費削減に対しての反対運動を開始する。

    反対運動は,行政に対して要望を出すことと,反対運動で社会から孤立しないために社会に理解を求めるアピール/キャンペーン行動の,2面展開を考えることになる。 また,組織の中では,反対運動において執行部が浮き上がらないよう,教職員全員に対し個々の守備領域で反対運動を行うよう求めることになる。


    反対運動は,自分に反作用する。
    下手な反対運動は,墓穴を掘る。
    反対運動は自分を美化し,この美化において自分で自分を騙すようになる。
    よって,反対運動が問題になるときは,先ず<自分>をきちんと理解する作業から取り掛からねばならない。 そしてその上で,反対運動が何であるか,何であり得るかを,きちんと理解する作業をしなければならない。

    ここに,国立大学協会が 7月7日に出したアピール文書がある: 学術の視点でこれを見れば,用いているロジックはずいぶんとめちゃくちゃなものである。 しかし,集団心理 (さらにはパニック心理) というものが作用して,ひとはすぐにこのことばづかいに慣れてしまう。 そして,これを正論のように用いてしまう。
    これを聞かされた相手は,ロジックの程度の低さに呆れて,「国立大学も自分のことになるとただのつまらない抵抗勢力になり下がる」と感じることになる。

    強調するが,「キャンペーンを難しく言っても始まらない。キャンペーンとはこの程度のものだ。」と言う者は,キャンペーンのためのキャンペーンをする者である。 そして,墓穴を掘る者である。 墓穴は,その者の墓穴ではなく,組織の墓穴である。