Up 教授会 : 要旨 作成: 2014-11-29
更新: 2014-12-01


    学長専制は,教授会が引き出した。


    社会は変わる。これに是非はない。
    社会の変化は,大学に変わることを強いる。
    ここにも是非はない。

    「変わる」は,これによって悪くなるものがあることを含む。
    「変わる」は,「トレード・オフ」である。

     例 : 義務教育から例を引けば,つぎは<財政立て直し──コスト削減>と<教育の質>のトレードオフが主題である:
     ・「小中学校の統廃合」
     ・「小中一貫」
        含蓄:必要教職員数の減,管理職教員数が半分に
           (特に地方で,効果大)
     ・「35人学級を40人学級に戻す」
        含蓄:必要教職員数の減
            生徒数40人の1学年は現行2クラスが1クラスに,
            80人なら3クラスが2クラスに,‥‥
           (人口集中型都市で,効果大)

    大学の「変わる」は,「トレード・オフ」である。
    「変わる」によって悪くなるものがある
    (「悪くなる」のうちには,「教員の不利益」も含まれる。)


    教授会は,「悪くなるものがある」が意見のすべてになるところである。
    「悪くなるものがある」が意見のすべてになることで,「トレード・オフ」の主題に進まない。
    教授会のこの格好は,「変わる」が課題になっている状況では,「頑固な保守主義」になる。

    行政は,大学に自身の変革を行わせるために,大学経営から教授会を切り離す策を立てた。
    そして,経営担当の任を「学長」に定めた。
    これが「国立大学の法人化」であり,これを定めた法律が『国立大学法人法』である。

    大学経営から教授会を切り離すとは,教員に経営のことは言わせないということである。
    一方,大学経営は,その教員に施策を示し遂行させることを含む。
    教員は,「学長に従うのみ」の格好になる。
    この体制は,構造的に,「学長専制」である。


    教授会は,「トレード・オフ」の主題が霧散するところとなる。
    そのことで「頑固な保守主義」を現すところとなる。
    こうなるのは,こうなる構造と力学による。
    この構造・力学の中心要素は,さよく思考回路(註)である。

    本章は,この構造・力学を論ずる。
    立場は,自然科学である。(「批判」ではない。)


     註 : 「さよく思考回路」は,苦しい表現である。
    ふつうに言えば単純に「サヨク」であるが,このことばには差別の響きがある。
    一方,「サヨク」のことばを使わないでは,内容が伝わらない。
    そこで,無機的な「入出力マシン」(「関数 (function)」) の概念として,「サヨク思考回路」を立て,「サヨク」も,カタカナからひらがなの「さよく」に変えることにした。