Up | DV | 作成: 2011-12-20 更新: 2011-12-20 |
「男と女」問題の一端を人権イデオロギーで回収した形が,「DV」である。 「男と女」は,文学のテーマになる。 翻って,これをテーマにするものは,文学が定番である。 そしてそれは,文学の永遠のテーマになる。 これをテーマにするものが文学であり,そして永遠のテーマになるのは,「男と女」問題が独特で複雑だからである。 「男と女」問題の人権的回収は,「男と女」の肝心なテーマを見ないものになる。 実際,人権に回収された「男と女」は,「男と女」でなくなる。 「男と女」の人権的回収は,「社会成員間」の枠を「一人の男と一人の女の間」にそのまま縮めてあてはめるというものである。 「一人の社会成員としての男と一人の社会成員としての女」は,「男と女」ではない。 男と女が,「一人の社会成員としての男と一人の社会成員としての女」から「男と女」に移行するとは,特別な関係性が求められてのことである。 そして,この特別な関係性のなかに,たとえば「DV」と表現される類のことも入ってくるというわけである。 人権イデオロギーは,「DV」を人権問題にする。 このとき,「DV」は<客観的事実>に見なされている。 しかし,「DV」は<客観的事実>か? 「男と女」の特別な関係性は,<当事者二人>に依存する。 <当事者二人>は多様であり,当事者二人の各々が自分たちの関係性を捉える仕方も多様である。 「DV」は,このいろいろな捉え方のうちの一つである。 特に,ある当事者二人にとって「DV」問題であるものは,別の当事者二人においてはそうでない。 |