- 中学校副免の教育実習を控えた学生が,ソーシャルネットワークで,配属予定校を話題に書き込みをし合った。
その中に,生徒の荒れ具合はどんなものか,不安を述べるものがあった,
学生は,この書き込みが配属予定校の目にとまるとは思っていない。
内輪の話で収まるものと思っている。
- この書き込みが,配属予定校の知るところとなった。
今日,学校は,ネット上の書き込みに目を光らせる者になっている。
- 配属予定校が大学にこのことを訴えてきた。
教育実習委員会が,当該学生に対する「指導」を決めた。
大学は,学生に対する外部からの訴えには,学生への「指導」で応じる。
- 教育実習委員会は,「学生に反省文を書かせ,委員長が学生を伴って配属予定校に赴き,謝罪し,許してもらう」というシナリオを描き,これを進めた。
そして,最後の「許してもらう」のところで,失敗した。
この種の問題の収め方は,《長が相手のところに出向き,指導一任をもらう》というものである。
相手のところに学生をつれていくことは,相手に学生を裁かせることになり,相手を困らせたいのでなければ,やることではない。
- 教育実習委員会は,「学生が実習辞退願を提出する」のシナリオを描き,これの実現をもって「指導」プロセスの終了にしようとした。
- 当該学生に実習辞退願を提出をさせるのに,教育実習委員会は,「実習を辞退しなければ,処分となって,教育委員会のリストに名前が載る」「処分者リストに名前が載ると,教採に影響が出る」の嘘を用いた。
学生は,そういうものなのだと思い,言われたとおりに実習辞退願を提出した。
実際,主免の方の教採が掛かっていて,これがダメになることを恐れたのである。
架空の話にしてもこんなのはあり得ない話だと言われそうだが,このケース・スタディの趣旨は,こんな理不尽・メチャクチャでも学生は受け入れてしまうということである。
指導は,密室の「無法」である。
相手は無知の者であり,いかようにもだませる。
「指導」側は,「指導」のこの構図に,十分に警戒する者でなければならない。
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