Up 教育論の振り子運動 作成: 2008-04-21
更新: 2008-04-21


    学習指導要領が改訂の度にぶれるように,教育には流行りがある。
    それは,教育の言論において優勢・劣勢が変化する模様に他ならない。

    流行りは,マクロに見れば,いわゆる実質陶冶と形式陶冶の間の振り子運動になっている。
    数学教育では,近くはおよそ 20年周期で振り子が振れている。
    学習指導要領でも,このタイプの振り子現象が認められる。

    優勢・劣勢の交替は,優勢派の論が導いてきた教育に失敗が見えてきて,これを非難する世論の大合唱が起こるようになることで,起こる。 そして,交替により新しく優勢になった論が,やがてこれの失敗が見え非難されるようになるまでの期間,続く。
    こうして,優勢・劣勢の変化模様は,「失敗」を繰り返す振り子運動の形になる。


    「失敗の繰り返し」は何を意味するか?
    端的に言えば,教育に責任的に関わる者が,通時的 (歴史的)・共時的 (分野横断的) に視野の狭い仕事をしているということだ。
    実際,「この種のことは過去に行われたことがあり,そしてその後別の方法に替わられている」「この種のことは,あるところでは行われているが,別のところでは退けられている」事例を,その理由とともによく知り・理解していれば,単純な「失敗の繰り返し運動」に嵌ることはない。

    しかしこれは,「よく知り・理解していれば」の「れば」の話。
    「<よく知り・理解する>は決してあることではない」を出発点としなければならないのかも知れない。 ──このときは,研究スキームそのものが変わってくる。( 振り子運動をどうとらえるか?)