Up 「業績評価」の実際 作成: 2008-03-26
更新: 2008-03-26


    評価システムの導入を体験した者は,つぎのことをはっきり知ることとなった:

      評価システムの導入によって起こることは,「評価のための評価項目づくり」である。
      業務が評価項目の体裁づくりにシフトし,落ち着きのないものになる。 地に足の着いた仕事が霞むような格好になり,そして構われなくなる。

    『業績評価』は,だれが・どこで書いても,ウソになる。
    これは「不正直」といった問題ではなく,もっと本質的な問題である。
    すなわち,「ことばとは,こういったものだ」ということである。

      おおざっぱに言うと,言語の機能は「区画」である。 区画された中身は,言語の領分ではない。
      区画された中身を定量的にひろうために,数がもちいられる。 定性的にひろうためには,これを定量的に翻訳する。

      例えば,ある色に対し「赤」と言うことができる。 しかし,「赤はなんだ?」と問えば「赤は赤だ」になる。 なんとか「赤」にアプローチしようとしたら,光の波長で表現するみたいになる。


    『業績評価』には,「意欲的に取り組まれた」「事業推進が拡大している」「体制が整備されつつある」のようなことばが簡単に書かれる。実質がどうかは関係ない。──繰り返すが,ことばとは,こういったものだ。

      住民10万人の市で,イベントを開催した。近所のひと300人が集まった。また,ある小学校の一クラスで訪問授業をした。これらに対して「地域連携」のことばを使う。ことばとは,こういったものだ。