Up | 要 旨 | 作成: 2009-06-21 更新: 2009-06-21 |
善悪を対立させる図式はわかりやすいので,ひとはこの図式に嵌る。 ひとは,現前を悪として挫いてくれる善を絶えず求める。 あやしげなものが善として登場し,世の中がおかしな方向に進む。 ひとは,性懲りもなく,これを繰り返す。 歴史は,これの繰り返しである。 人の生きる世界は,複雑系である。 善と悪の対立図式で描かれるものではない。 「民=善」を仕立てた「改革」で,世の中はおかしな方向に進む。 そしていま漸く,ひとは「改革」のことばに対し眉に唾するようになり,「民=善」のスローガンにとびついたかつての自分を浅ましく思うのである。 国立大学の「国立」は,「民=善」によって退治されるべき悪となった。 善悪の対立図式を立てることは,悪とするものに対して思考停止するということである。 国立大学の「法人化」では,国立大学の「国立」の意味が思考停止される。 「国立」の意味は何か? ある業務・業態を「国立」にするとは,これの大事を保てるようにするということである。 大事を保てるようにするために,食い扶持を保証する。 国立大学の「法人化」では,この「国立」の意味が思考停止される。 この思考停止は,「国立」を恥じることをインテリジェンスのありどころのように思う倒錯へと,進行する。 食い扶持を保証されてきたことが,恥じられる。 そして,大事の保守よりもつぎのようなことに血道をあげることの方が重要と思う精神構造を,自らつくっていく:
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