Up | 施策のための施策──そのメカニズム | 作成: 2009-07-05 更新: 2009-07-05 |
「法人化」は,国からトップダウンされた「改革」である。 このトップダウンにより,国立大学は「改革のための改革」を行うところとなる。 国立大学の執行部は,「法人化」執行部になる。 ──「法人化」の施策の作成・実行を仕事とするものになる。 「法人化」の施策の作成・実行とは,『中期計画・目標』(「○か年計画」) を作成しこの内容を実行する,ということである。 執行部が『中期計画・目標』に書かねばならないものは,「改革」である。 この意味は,『中期計画・目標』には<これまでには無かった新しいもの>を書いていかねばならないということ。 従来型は,ことさらに否定されねばならない。 そしてこれに替わる新しいものが,ことさらに考え出されねばならない。 これを行うことは,一見難しく思われる。 しかし,「従来型を否定して,これに替わる新しいものを提案・主張する」は,実は大学教員の研究の一般的スタイルに他ならない。 (研究の一般的スタイルは,アメリカン・スタイルであって,これは自分の研究の差別化として,<進展>を示さねばならない。) よって,アメリカン・スタイルの教育研究論文をさがせば,<従来型に替わる新しいもの>のアイデア (思いつき) はいくらでも見つかる。 また,日本とアメリカの文化は違うので,大学の制度や方法論も違う。 そこで,アメリカの大学の制度・方法論をそのまま移入して,「従来型 (悪) に替わる新しいもの (善) の導入」に見せかけることができる。 しかも,このやり方は,歴史開闢以来の日本がずっとやってきたことなので,抵抗感がもたれない。 実際,アメリカナイズ (「グローバル化」) を善しとする時代風潮の中で,「改革」行政の「有識者会議」は,国立大学をアメリカナイズする施策を示してきた。 国立大学も,横並びのメカニズムによって,アメリカナイズ施策を自らつくり出す者へと変わっていく。 こうして,「施策のための施策」をつくり出すことは,「法人化」執行部にとって全く不自由のないものになる。
以上が,「法人化」の国立大学における,「施策のための施策」のメカニズムである。 |