Up 横並び 作成: 2007-09-16
更新: 2007-09-16


    「あたりまえ」「当然」と思うことに対し,ひとは思考停止する。
    ──これは省力化のメカニズムである。

    ひとが「あたりまえ」「当然」と思う心の位相に,「横並び」とか「ムードに流される」がある。
    しかし,「横並び」や「ムード」では,しばしばモトが存在しない──すなわち,つぎのようである:

      さんまが,その群れる習性によって,
      一匹も集団から抜け出せない様で塊をつくる。
      (何物も塊の形を導いていない。)


    「法人化」の国立大学が進める「革新」では,国立大学の横並び指向が働いている。
    この「横並び」の最も明確な形は,規程の横並びである。 どこかの国立大学が規程で突出すると,他の国立大学がこの規程で横並びして,突出をなくする。


    横並びの問題点は,思考停止 (本質的・根本的なことに向かう思考の停止) である。 ──この構造をイラストにしてみる:



    規程は,理論のレイヤーの一番上 (表層) に位置する。
    レイヤーの深度には,問いの根柢度が対応する。

    1. A国立大学が,X国立大学の規程に横並びしようとする。
    2. 規程をつくる。
    3. 規程を合理化する (理論のレイヤーを少し潜る)。
      (それより下に対しては思考停止)

    思考停止されているレイヤーからボトムアップに論を立てるとき,この論 (「本質論」) は,横並び規程を合理化する論 (トップダウン) とずれることになる。 規程の妥当性について,この二つの論が対立する。


    「法人化」の国立大学は企業を手本にしようとしているが,そのような国立大学はつぎのことも知っておいた方がよい:
      横並びやムードで思考停止するのは,企業も同様

    「経営」ビジネスは,経営学の思潮にビジネスのネタを探し,商品開発して企業に売り込む。 ITやグローバリズムのことばの流行では,ムードに流されて無駄遣いしたり,本業をおかしくしてしまった企業は多い。