Up 「順法闘争」 作成: 2007-09-17
更新: 2007-09-17


    公務員ストが社会現象であった昔,組合の闘争戦術に「順法闘争」というのがあった。
    法に明示的に違反する形は処罰されるので,「形は法に順い,中身でサボタージュする」を戦術にした。 これが「順法闘争」である。

    「法人化」の国立大学で,<トップダウン>に対してもしこの「順法闘争」が現れると,それは全体主義を進める役回りをするものになる。


    例えば,トップダウンでやってきた「シラバスに統一フォームを強制」( シラバス検閲) に対し,
      すべての項目に何か書いておけば,それでいい
    がどこからか出てくるとしよう。 これは,「順法闘争」指令である。
    実際,この指令はつぎの2段階になっている:
      「上から指示されているように,すべての項目を埋めること」(順法)
      「ただしこのときには,何か書いておけばそれでいい」(サボタージュ)

    「シラバスに統一フォームを強制」は,「シラバス」「教育・研究」の本質論に遡って問題化されるような内容のものである。
    しかし,「順法闘争」の立場は:
      本質論は中央の考えるものであり,
       大衆は指示に従っていればよい。
    そして,はじめから「落としどころを求める」のスタンスをとる。
    大衆は「順法」を指示されるわけであるから,「順法闘争」は全体主義を進める役回りを自ら務めていることになる。


    「法人化」の国立大学では,クリティカルな施策が全体主義で進められることになる。 そして,このとき最も質(たち)の悪い振る舞いをするのが,「順法闘争」である。
    これは,自分勝手に「大衆の回収」「問題の回収」を考える。 そして,本質論に蓋をする。