Up 目先のことのために大事を壊す──コスト知らず 作成: 2007-07-31
更新: 2007-07-31


    「裏口入学を買いたい」ともちかけられたとする。たいていは断る。 一人の学生を裏口入学させることはタダなのに,断る。
    「教授のポストを形だけでいいから買いたい」ともちかけられたとする。やはりたいていは断る。 形だけの教授ポストをつくることはタダなのに,断る。

    なぜ断るのか?

    実は,タダは見掛けであって,これをやることで損なわれる<信用>は,ここまで築くのに莫大なコストがかかっている。 計算が,はなから合わないのだ。

    ものごとのコストは,歴史/時間で考えないとわからない。
    逆に,歴史/時間を考えられない者は,制度や文化といったものを,物ではないのでタダだと思う。 「大事」はこれなのだということが,わからない。 そして,目先のことのために大事を壊す。


    「法人化」の国立大学は,「生き残り競争を自分の哲学にして,経済主義にシフトする」ことが「改革」であり,これをするのが良いことである,と思うようになった。 そして,目先のことのために大事を壊すことをやりはじめた。 一線を簡単に越えてしまうのだが,それは大事のコストがわからないためだ。