Up マニュアル指向 作成: 2007-07-20
更新: 2007-07-20


    学生に対しては
      マニュアル指向はダメだ
      ファンダメンタルに考えないと失敗する
      ものごとは視野を広くして長期的展望で考えないと,捉え損なう
    と言いながら,自分ではこれの逆を行く。
    言うこととやることがてんで違うのだが,本人にはこの自覚がない。

    「法人化」の国立大学は,行政お手盛りの「有識者(アマチュア)」会議の報告やマスコミ報道に自分の行動マニュアルを求める。
    ( <生き残り>バブル)


    国立大学には,マニュアル指向に簡単に転じてしまう素地がもともとある。

    国立大学は欧米の大学を手本としてきた。
    研究も,ほとんどが欧米のスタイルを模倣/踏襲/指向する。
    「日本の大学ならでは」の意識はほとんどなく,「欧米化・国際化・無国籍化がよいことだ」の意識が強い。

    したがって,「グローバル化」「アメリカの大学のシステム・手法の導入」のスローガンには,結構すんなり応じてしまう。 また,「有識者」会議の報告に対しては,欧米の思想を学ぼうとするように,これを学ぼうとする。


    ここに問題の本質として現れてくるのは,つぎの2つの理知の在り方である:
    • ファンダメンタル
    • パラダイム/スキーム

    「パラダイム/スキーム」は,
      ウソかホントか (意味があるかないか) はおいといて,
       この枠で導かれることを徹底的に洗い出してみよう。
    という研究方法論。──これに対し,
      ウソかホントか (意味があるかないか) ?
    の段になると,「ファンダメンタル」の領域となる。

    研究にはつぎのサイクルがある:
    1. パラダイム/スキームが提起される
    2. パラダイム/スキームに従う研究が蓄積され,やがて一段落する
    3. ファンダメンタルに返る
    4. パラダイム/スキームが提起される
      (これの繰り返し)

    わが国の大学研究を評した言い方に
      真似は上手いが独創性に欠ける
      ヒットはコツコツつくるがホームランがない
    があるが,これはつぎの意味になる:

      パラダイム/スキームに従うときは強いが,
      ファンダメンタルになると弱い。


    そこで,「変革期の中の国立大学人」のスタンスにも,2通り出てくる:
    • パラダイム/スキームが他から与えられることを求め,与えられたものに従う。
    • 国立大学のデザインを,ファンダメンタルから興す。

    実際,「法人化」の国立大学では,この2分極化が進行している。