Up 「状況を科学する」立場にあることを忘却 作成: 2007-07-20
更新: 2007-07-20


    状況の理解に専門性が必要になったとき,専門家をかかえている大学が窓口になる。 しかし,おもしろいことに,「国立大学」の理解に関しては,行政のお手盛り「有識者(アマチュア)」会議が国立大学に指導を垂れる。

    国立大学は,あらゆる専門性を担う──ただ一つを除いて。
    除かれるのは, <自分自身>。 眼に見えるものから自分自身が除かれるように。


    実際,国立大学の方も,この扱いに甘んじる。
    あるいは,このような扱いに疑問をもたない。

    要するに,「科学する者」としての自覚が国立大学に欠けているのだ。
    「自分自身を科学する」「国立大学の本分・分限を主題化する」という思想性が見られない。
    そして,国立大学経営と営利企業経営を同列に置く。大学教育と営利活動を同列に置く。


    自らを「サラリーマン」と位置づけた学校教員は,そのスタンスがもとで,世間から軽んじられる存在になってしまった。
    自らを「営利企業」と位置づける国立大学は,そのスタンスがもとで,世間から軽んじられる存在になる。
    ──実際,経済界有識者にとって,新米営利企業国立大学は,自分たちが指導し,まともな道 (成功営利企業の道) に導いていかねばならない存在である:

    (『成長可能性拡大戦略の策定に向けて』(2007-04-17)より)
    2. 大学・大学院改革
    (1) 大学・大学院改革の目標
    1. グローバル拠点化:大学がイノベーションの拠点となり,世界中から一流の研究者が集う。これにより,経済全体の成長力が加速される。
    2. 構造変化の先取り:将来の産業構造変化と整合的な教育研究が行われる。
    3. 国際化:大学が高付加価値産業に転換し,世界,特にアジアから質の高い留学生を受け入れる。
    4. 機能の特化:研究拠点から教育中心系,地域密着系までの大学のあり方の幅の中から,大学自身の選択と努力により,特化,集中を実現する。

    (2) 大学・大学院改革の重点
    1. イノベーションの拠点として
      ──高度研究拠点への研究資金の選択と集中
      • 競争的資金の拡充と間接経費の充実,審査の国際化等
    2. オープンな教育システムの拠点として
      ──学生による大学の選択と国際化
      • 国立大学入試日の分散・複数合格,9月入学(選択),入試における文系と理系区分の撤廃
      • 理数系強化のための学部定員の弾力化
      • アジアを中心とした国際的な相互連携プログラム(「大学・大学院グローバル化プラン(仮称)」)の策定(二重学位,英語による授業の拡大 等)
    3. 大学の努力と成果に応じた国立大学法人運営費交付金の配分ルール
      ──次期中期計画(平成22年度から)に向け,新たな配分ルール(教育と国際化などの努力と成果に応じた)の具体的検討の早期の着手
      交付金の配分ルールは,例えば以下の観点を取り入れるべきではないか。
      • 広範な専門家からなる第三者による教育評価の反映(評価体制・基準の確立が急務)
      • 高度人材育成や国際化に対する大学(特に大学院)の努力と成果への配分の重視
      • 建設的かつ革新的な再編・統合を後押しする仕組みの導入

    (3) 今後3年間で取り組む政策プログラムを,数値目標を設定した上で「骨太2007」に盛り込み,出来るものから実行に着手すべきである。