Up <生き残り>バブル 作成: 2007-05-12
更新: 2007-05-12


    国立大学の「法人化」で,国立大学は行政から「生き残り競争」を課されることになった。 ──経済財政諮問会議の経済界有識者は,「優勝劣敗の競争的環境が企業力を高める」という考えを大学に適用した。


    国立大学がそのとき先ずしなければならないことは,企業の「優勝劣敗」の実態や大学の意味を改めて考えることであった。 しかし,国立大学にはこれをする器量がなかった。

    正気をすっかり失った体で,「生き残り」行動としてしなければならないことを求め始めた。 「行政は何を言っている」「どこの大学は何を始めようとしている」という情報が最も大事なものになり,これに翻弄される。
    そして,大学の最も大事なもの,すなわち文化/伝統/遺産を,壊していく──「破壊」の意識もなく。
    後世から振り返れば,バブルとしてひたすら恥じるしかない失態である。


    いまはしっかり惰性を得た<生き残り>バブルは, しばらくはブレーキが効かず,続くことになる。
    収束したときに残っているのは,破壊のあと。
    損失は大学独りのものではない。
    国立大学の損失は,国民の損失に他ならない。