Up <生き残り→生態系破壊>との類比 作成: 2007-05-12
更新: 2007-05-12


    <生き残り>の動機は,ときに「自然を収奪する」に向かう。
    「なりふりかまわず=自分が立っている足元を自ら壊す」のこのときの「足元」は,自分を含む生態系。

    生き残りの動機で生態系を破壊する者は,多くの場合,破壊しているものがわからない。そもそも,破壊の意識がない。
    破壊の形が歴然となってはじめて,破壊したこと,そして破壊したものを知る。


    生態系は,壊すと元に戻せない。
    人が壊してつくり直せるのは,もともと人工物だったもののみ。
    壊してしまった生態系を元に戻せないのは,人を殺して生き返らせることができないのと同じ。

    生態系は,多様な個が多様に関係し合う複雑系。 これは地球の歴史の産物。
    人が壊してしまった生態系は,壊されたもの自らが蘇生することでしか修復されない。 このとき人ができるのは,「水をやる」程度のこと。


    大学も,一つの生態系。
    人がつくったのではない。歴史がつくった。
    雑駁なアタマには,大学が一つの生態系であることがわからない。 建物をつくって,カリキュラムを書けば,大学が興ると思っている。
    そんなアタマだから,大学をめちゃくちゃにいじる。 壊している意識がなくて,大学を壊す。
    「大学の文化/伝統/遺産」ということばを知っていても,その意味がわかっていないのだ。

    大学は,歴史がつくった。
    壊すのは一瞬,そして二度と取り戻せない。