Up 論点 :「ユーザー体験」 作成: 2007-09-04
更新: 2007-09-04


    統一フォームシラバス強制を合理化する仕方の一つに,「ユーザ・フレンドリ」がある:

      シラバスのユーザ・フレンドリなデザインは,統一フォームである

    そしてこれは,「ユーザー体験 (user experience)」を論点化する。

    問題は,こうである:
    1. ウェブベース・シラバスにおける「ユーザー体験」は,どのようなものか?
    2. 「統一フォーム」は,この「ユーザー体験」から導かれるものか?


    学生のウェブベース・シラバスにおける「ユーザー体験」は,つぎのようになる:

    1. ウェブベース・シラバスにアクセスする。
      (シラバスは,ウェブベース・シラバスの他にはない。特に,ウェブベース・シラバスには,「シラバス・ゲートウェイ」が含意される。)
    2. 履修規則を読み,「科目区分何々の科目はいくつ履修が必要」を確認する。
    3. 科目区分ごとの科目表と時間割表を相照らして,曜日・時間がバッティングしないように履修科目の候補を立てる。
    4. 候補一本化のために,科目のシラバスを参考にする。

    特に,学生において,「本のページをパラパラめくるように,シラバスのウェブページをブラウズする」という行為は,存在しない。
    ウェブページは,本のページをパラパラめくるようには,ブラウズできない。 これは,本とウェブページのメディア特性の違いである。

    そして,「候補一本化のために,科目のシラバスを参考にする」行為においては,「統一フォーム」はシラバスの要件にならない。
    学生の関心は,科目の差別化にある。
    教員は,これに応ずるように「シラバスのデザイン」を考えることになる。
    教員が学生に見せたい/見せるべきものは,「統一フォームの制約の中の差別化」ではなく,自由な差別化である。