数学教育コースの学生は,専門数学科目の履修に消極的である。
理由は,つぎのようになる:
- 「数学の授業が難しい。授業に出てもわからない。」になる。
- したがって,中学や高校数学の教員免許をとろうとするときも,「免許取得上必要最小の単位数で済ませたい。」になる。
- また,「自分が入学した大学は,小学校教員養成専一の大学である。」の思いがあって,数学の科目履修がたいへんそうだと「小学校の教員免許がとれればそれでよい。」になる。
A について
「数学の授業が難しい。授業に出てもわからない。」を,教員は学生の学力のせいにする。
しかし,問題の多くは教員の側にある。
実際,この場合は,専門数学科目の不出来が問題の根本になっている。
( 専門数学科目の不出来)
B について
実際,教員免許取得のために必要な専門数学の単位数は,多くない:
免許状取得のための最低修得単位数
( 教育職員免許法 別表第1)
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小学校教諭 |
中学校教諭 |
高等学校教諭 |
専修 |
1種 |
2種 |
専修 |
1種 |
2種 |
専修 |
1種 |
教科に関する科目 |
8 |
8 |
4 |
20 |
20 |
10 |
20 |
20 |
「教科に関する科目」の内容
( 教育職員免許法施行規則 第3 4, 5, 6条)
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小学校教諭 |
中学校教諭 |
高等学校教諭 |
教科に関する科目 |
国語(含:書写) 社会 算数 理科 生活 音楽 図画工作 家庭 体育 |
代数学 幾何学 解析学 「確率論、統計学」 コンピュータ |
代数学 幾何学 解析学 「確率論、統計学」 コンピュータ |
中・高校数学教員の1種で「20」とは,「半期の授業を10個とる」ということであり,つぎのような科目履修で足りるということである:
2年次 |
3年次 |
前期 |
後期 |
前期 |
後期 |
代数学 I
解析学 I
幾何学 I
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代数学 II
解析学 II
幾何学 II
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代数学 III
解析学 III
幾何学 III
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代数学 IV
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しかし,学生は,これでもたいへんにしている (→ A)。
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