Up | 要 旨 | 作成: 2006-08-24 更新: 2006-08-24 |
さて,この指導が現実にもたらすものは何か? この指導を利用する形で,前衛を自ら任じるグループが大学執行部をとり,「学長の強力なリーダシップ」を行う。 「学長の強力なリーダシップ」は,執行部と毛色を異にする者にとっては,不合理な状況である。 同時に,この状況において自分の考え方・立場が劣勢であることを感じる。 ひとは不合理な状況に立たされ,そしてその中で自分の考え方・立場の劣勢を感じ出すと,思考停止という退行的順応を行う。 覚醒はフラストレーションを招くだけなので,自らを眠らせるわけだ。 執行部の方針についてきた者も,状況の推移に将来的な危うさを感じる。しかし「いまさらリセット/後戻りはできない」の思いで,惰性/成り行きに身をまかせる。 「学長の強力なリーダシップ」は,組織にこのような精神状態をもたらす。──退行,諦観/傍観,無責任。 ただし,組織の精神の状況は,これまでの組織風土と密接に関連している。 前衛主義や長老政治を組織風土としてきた大学では,退行,諦観/傍観,無責任の精神状況は自ずとひどくなる。
本論考では,「学長の強力なリーダシップ」に対する「退行的順応」の一般的構造を考察する。 そして,これをつぎの2つのセクションに分けて論ずることにする: |