Up 大学の教員組合の意味 作成: 2005-12-28
更新: 2006-01-05


    大学の教員組合の意味は?

    組合の意味の考察は,組合の存在理由,そして組合の存在前提 (存在の必要条件) の考察に溯る。

    例えば,組合はデモクラシーが貫徹されている組織では,論理上,存在理由をもてない。
    よって,「デモクラシーの未熟」は,組合の存在前提の一つになる。

    現実に存在する組合は,「事業主が労働者に対し (意図的あるいは非意図的な) 搾取/収奪/報酬出し渋りを行う」という構図を描く。
    この場合は,「事業主が労働者に対し (意図的あるいは非意図的な) 搾取/収奪/報酬出し渋りを行う」ことが,組合の存在前提になる。──逆に言うと,「事業主が労働者に対し (意図的あるいは非意図的な) 搾取/収奪/報酬出し渋りを行う」ことがなければ,組合は存在する必要がない。

    「事業主の労働者に対する搾取/収奪/報酬出し渋り」の構図はサヨクのイデオロギーに回収されるので,組合は歴史的に,サヨク党が指導するサヨク系組合として起こっている。

      ちなみに,北海道教育大学の各分校の教職員組合は,全国大学高専教職員組合 (全大教) に加盟する組織。
      全大教は,1980年代後半の期間を費やして,日教組 (旧·日本社会党系) の大学部から活動方針の違いを理由に離脱し結成された組織で,いちおう (基調は) 日本共産党系。


    大学の教員組合の活動は, つぎの2種類:

    • <事業主>に対する待遇改善の活動。
    • サヨク系組合として,オルグ活動を絡ませつつサヨク的政治キャンペーン活動を行う。
        例:「憲法改悪反対」「教育基本法改悪反対」「イラク派兵反対」

    ここで<事業主>は,国立大学法人化以前は国。そして,国立大学法人化以降は大学執行部。 そしてこの移行が,大学の教員組合を,これまでの在り方/やり方が適合しない全く新しい構造に投げ込む。

    特に,組織崩壊につながるタイプの「第一組合・第二組合」の問題を孕ませる。


    岩見沢校では反執行部の立場のグループが組合をとった。そこで,執行部寄りのグループが組合に対しどのようなスタンスをとるかが,注目される。
    この状況で,2005年12月に執行部寄りのグループが,組合潰しの行動をついに起こした (§ 組合破壊)。

    わたしはこの行動を,戦術 (合理計算の上の行為) ではなく,テロ(破壊自体を目的とする行為) と見ている。なぜなら:

      「第一組合・第二組合」は,組織の末期症状として出てくるものであり,それは,組織を本当に終わらせる (「組織を割って片方を切る」も含めて) ときのもの。
      岩見沢校/北海道教育大学の執行部にとって,<反執行部>は組合に回収させるというのが上策。
      ゆえに,執行部が組合潰しを戦術として使うことは,あり得ない──余程の経営音痴であれば別だが──という結論になる。

    この事件は,人間関係の亀裂をさらに深刻なものにするだろう。(人間関係の崩壊=組織の崩壊)


    ちなみに,わたしは<大学>の要件に「デモクラシーの貫徹」を考えるので,大学の教員組合に対する立場はつぎのようになる:

      <大学>という組織の実現には,
      「組合の存在前提を無くす」という含意がある。

    <大学>に組合は要らない。──組合が機能している間は,大学は<大学>でない。
    特に,「第一組合・第二組合」の問題が見え隠れするような大学は,いわゆる「大学」の遙か以前である。



    参考