北海道教育大学札幌校の場合,教科教育を柱にして構成されていた従来型教員養成課程に対応するものは,「基礎学習開発専攻」ということになる。
これの『履修基準』に,つぎのように述べられている:
専攻の教育目的・特色
今日の教育においては,学習の主体である子どもを中心に、子どもたち自身がお互いにかかわりあいながら,「学び」を創りあげていくことを通して,「生きる力」を育む教育が求められている。基礎学習開発専攻では、小学校教員の養成に主眼をおき,このような社会的要請に応えるため、「英語グループ」,「国語グループ」,「社会グループ」,「算数グループ」,「理科グループ」の5つのグループを設けて,それぞれのグループでは、理論や方法論について深く学ぶことに加えて、実習や実験を通して体験的に学ぶことのできるカリキュラムが工夫されている。
また,それぞれのグループに偏ることなく,横断的な視野から物事をとらえることの出来る人材の養成を目指す。
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「それぞれのグループに偏ることなく,横断的な視野から物事をとらえることの出来る人材の養成を目指す」とあるように,「グループに偏る」ことを否定的にとらえる教育論を立場にしている。
実際,
のカテゴリーで「反従来型」の特色を出すことをねらい,従来型専門科目をつぎの枠組みで横に切る:
「教科内容研究科目」
「専攻科目」
「研究発展科目」
「免許対応科目」
そしてさらに,科目名を生活単元的な名前に改めることがよしとされる。
例えば,数学教育ではつぎのようになる:
教科内容研究科目 |
小学校算数 |
専攻科目 |
数の理解
図形の理解
数量関係の理解
集合と論理
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研究発展科目
| 代数学 I
解析学 I
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免許対応科目
| 代数学 I〜V
幾何学 I〜V
解析学 I〜VII
統計学 I, II
コンピュータ
応用数学
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専門科目は,「免許対応科目」に括られ,オプションにされる。
実際,これらの科目を表に立てることは「従来型教員養成課程」を現すことになり,大学にとって好ましくない。
──北海道教育大学札幌校の立場は
「従来型教員養成課程は,よくない」
「専門科目が従来型で立っていることは,よくない」
である。『履修基準』に専門科目が載っていないことも,これと関係しているのかも知れない。
『履修基準』に
それぞれのグループでは、理論や方法論について深く学ぶことに加えて、実習や実験を通して体験的に学ぶことのできるカリキュラムが工夫されている。
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とあるが,これは自己撞着。
反従来型を趣旨とするカリキュラムは「理論や方法論について深く学ぶことはしないことにする」カリキュラムであり,実際,札幌校のカリキュラムは「深く学ぶことはしない」という趣旨でつくられたものである。
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