Up 偏西風は高緯度圏対流渦束の縁(へり) 現象 作成: 2023-01-22
更新: 2023-01-27


    一般に,渦からは流れの一部が剥離する。
    また,渦束の縁に位置する大きな渦では,<流体粘性>のダイナミクスにより,束の外側の流体粒子がこれに連動する。

    天気図が可視化する高緯度圏鉛直対流は,この2つのダイナミクスの結果を示している。
    それは,上昇流の渦流と同じ方向に (下昇流の渦流と同じ方向に,と言っても同じ),渦の縁を回る空気の流れができる,というものである。

    偏西風は,渦の縁を回る空気の流れのうち,渦束の縁(へり) を見たものである。
    物の面がそれ自体で存在するものでない如く,偏西風はそれ自体で存在するものではない。


    偏西風は,流れの幅に比べて,ひじょうに薄い。
    高緯度圏鉛直対流渦束は周囲の空気を幅広く巻き込む,というわけである。

    つぎは,200 hPa 面天気図 (2023-01-16 JST 21) の 80kt 等速線を緑色にして,偏西風を可視化したものである。
    この帯は,日本上空で幅が 2千km ほど。
    中緯度の対流圏の厚さを 10 km とすると,幅に対する厚さの比は 1/200 である。