Up <サンマ乱獲→不漁>を「温暖化」のせいにする 作成: 2023-03-22
更新: 2023-03-22


    「温暖化」のことばは,人間がしでかした失敗 (「愚行・悪行」) をごまかすのに重宝される。
    こうして,「温暖化」のことばは,独り歩きする一方となる。

    「専門家」はもう「温暖化」を唱える必要はない。
    メディアと大衆が「温暖化」のことばをキャッチボールするのに任せればよい。
    彼らは, 「温暖化」イデオロギーをどこまでもエスカレートさせてくれる。


    かつて北海道は,ニシンが大量にとれた。
    これを,金儲けのために乱獲した。
    畑の肥料にしたのである。

    そのニシンは産卵するために人間の漁場に入ってくるわけであるから,こんな乱獲をやっていたら,ニシンはたちまちいなくなる。
    現にそうなった。
    ニシンはあっという間にいなくなった。
    「幻の魚」になったのである。


    かつて北海道の川は,サケが大量に上ってきた。
    これもまた,金儲けのために乱獲された。
    そして,サケはまたたく間に姿を消した。
    そして遅ればせながら,卵の人工孵化・稚魚放流で,人間が再生に努めているというわけである。


    この調子で,イワシも「幻の魚」になった。
    そして「幻の魚」になったといま話題の魚が,サンマというわけである。
    なんのことはない,魚群を探知機でとらえては一網打尽にするわけであるから,個体数が保つわけがない。

    この乱獲による漁獲量激減を,そっくり「温暖化」のせいにする。
    人間の無知と狡猾さは,ほんとうにどうしようもないものである。


    「温暖化」と騒いでいるその内容は,「日本近海の海面水温が過去100年間で2度上昇」である。
    これ自体眉唾のところはあるが,そのまま受け取っても「人間の無知と狡猾さ」の話はできるので,これをいただくとしよう。

    ひとは「海面水温」となっているところを見ない。
    ひとは「温暖化」イデオロギーが好きなので,これを「海水全体の温度」にする。
    しかし,海面のちょっと下は,温度が安定している。
    ひとは,海水量が圧倒的に大きいこと,水の比熱がすべての物質のなかでいちばんであること,対流により熱は上に溜まって下には降りないこと,等々に思いが及ばないのである。

    生物は春夏秋冬を生きる。
    気温・水温・地温の変化に対する耐性は,ひじょうに強い。
    魚は,「過去100年間で2度上昇した海面水温」でどうこうなるものではない。
    そして魚は,水面にいるのではなく,水中にいる。
    このくらいのことは思い至って欲しいものであるが,いかんせん現代人は生き物の知識に疎くなっている。


    渡り鳥や回遊魚は,気の向くままに気持ちのよいところを選んで移動しているのではない。
    彼らは,繁殖のために移動している。
    その移動経路は,進化の歴史の中で固定している。

    この移動経路に,人間が待ち伏せして乱獲するとどうなるか?
    この種は,個体数を激減させ,たちまち幻の生き物になる。

    魚のことがよくわからないのであれば,渡り鳥で考えてみればよいのである。
    渡り鳥の経路で待ち伏せして,乱獲する。
    その渡り鳥は,たちまちいなくなる。
    その渡り鳥は,「日本が温暖化したので涼しいところに移動経路を変えた」のではない。


    北海道でブリがとれるようになった。
    サンマ不漁を「温暖化」のせいにする者は,ブリを「温暖化」の証拠にしようとする。

    ブリは,イワシやサンマの類の魚を餌とする肉食魚である。
    餌となる魚の回遊を追って回遊する。
    ブリが北海道に現れるようになるのも,乱獲によるイワシやサンマの類の魚の激減を原因と考えることになる。
    これまでの回遊経路に餌となる魚がいなくなったことにより,餌食を求めているうちに北海道にも来てしまうようになったのである。


    サンマの移動は,つまるところ繁殖のための移動である。
    栄養をとるための移動は,繁殖できる体をつるくための移動である。
    この移動の経路は,進化の歴史の中で固定した。
    この経路に,人間が待ち伏せして乱獲した。
    こうして,その経路を通るサンマはいなくなった。

    これを認めることが不都合な者たちは,「温暖化」イデオロギーを利用する。
    「温暖化」イデオロギーは,サンマがこれまでの漁場にいなくなったことを「サンマの気持ち」で説明してくれるからである:

      NHK WEB, 2023-03-21
    さかなクンが "魚の気持ち" 解説
    サンマ不漁の原因は?
     ‥‥
    私たち人間は恒温動物で体が常にぽかぽか温かい状態を保っていますが、お魚は変温動物で、適水温はおよそ10度くらいから15度くらいと言われています。
    日本近海では冬から春は、ちょうどこのぐらいの水温が比較的南の方なんですね。
    だんだん温かくなると、三陸沖、あるいは北海道沿岸も水温が上がってきて、「あ、ちょうどいい水温だ!食べ物も豊富な三陸沖だ!北海道沖だ!もっと北上するよー」と、適水温に合わせて旅をしていくわけです。
     ‥‥
    ところが、ここ近年の各地の水温の上昇によって、「沿岸の水温が上がってきてしまった!もうちょっと沖に行こう」と、だんだん奥のほうに移動してるのじゃないかとも考えられています。
    適水温があるお魚ですので、「今まで泳いでいたこの辺の水温が熱い!こりゃ大変だ!熱いよー!」と思うと、さらにさらに沖へと回遊ルートが変わってしまうということがあると思うんですね。
     ‥‥
    ここ100年で海域によっては2度から3度上がってるっていうところも報告されてます。
    お魚にとって水温が1度上がってしまうというのは、私たちにとっては平熱が1度上がってしまうのと同じではないかと思うんですね。


    "魚の気持ち" は,ファンタジーである。
    一方,つぎのくだりは,嘘を用いる騙しである:
      「 ここ100年で海域によっては2度から3度上がってるっていうところも報告されてます。
    お魚にとって水温が1度上がってしまうというのは、私たちにとっては平熱が1度上がってしまうのと同じではないかと思うんですね。

    ここ100年で海域によっては2度から3度上がってるっていうところも報告されてます」を言って,日本近海もこれだと思わせる。
    そして「魚にとって水温が1度上がってしまうというのは、私たちにとっては平熱が1度上がってしまうのと同じ」の嘘をつく。

    知るべし:
    • 「日本近海の近年の温度上昇」のデータは,海面水温の平均値で1度程度である。
      そして,海面水温の平均値というものは,つねに 0.5度以上変動している(註)
    • 魚にとって周りの水温の1度変化は,定温動物の平熱が1度上がることと同じではない。
      海面水温は夏と冬で5度以上も違う。
      50メートルも潜れば水温は年中同じだが,それより浅いところが生活圏の魚は,数度の温度の違いをふつうに生きていることになる。

    なぜ,海面水温を海中水温にすりかえ,サンマを定温動物になぞらえる,というような単純な嘘をつくのか。
    メディアが求めていることに,応えようとするからである。
    そして,嘘を言うところまで行ってしまうのである。


    . つぎは,気象庁のホームページに載っているグラフ:
    「近年」を「過去50年間」として 1950年以降を見ると,<1950年から1995年までの変動の中央値>からの<2020年の最高値>の偏差は,1度。
    そして,最高値の後には下降が来る。
    温度は変動するのである。

    赤線で,「温暖化」の思いに誘導しようとしている。
    これは騙しである。
    終戦前後のデータが無いところに,温度の飛躍がある。
    これは計測・統計の仕方が変わったということである。

    計測・統計の実態を考えれば,「平均温度の推移」データはもともと当てにならない。
    しかもそのスケールが 0.1度単位ときてる。
    こうして「温暖化」は好きなように言えるのである。