Up | 温室効果ガス濃度2倍は,温室効果2倍ではない | 作成: 2022-09-09 更新: 2022-09-09 |
そしてこれを聞かされる者もまた,その通りだと思う。 こうして世の中は, 「脱炭素」を唱えることが正義になる。 気象学者は,この正義に追随する。 そして以上が,フィードバック・ループする。 世の中は,「脱炭素」に対する異論があり得ないところになる
単純思考を改善するものは勉強だが,困ったことに,公教育 (学校教育) がこの勉強を阻害するところになっている。 公教育は,「よい社会人」をアウトプットする社会装置である。 その「よい社会人」には,「周りに同調」がある。 そして,無理するのではなくて自ずと同調してしまう資質が,「単純思考」である。 こうして公教育は,是非も無く, 「単純思考」を陶冶するところになるのである。 さて,温室効果ガス濃度2倍は,温室効果2倍ではない。 このことがわかるためには,量子物理が素養として必要になる。 しかし,話の敷居を高くしていては,世の中は「温室効果ガス濃度2倍は温室効果2倍」に留まったままになる。 「温室効果ガス濃度2倍は温室効果2倍ではない」が,できるだけ簡単に説明されることが必要である。 その「できるだけ簡単な説明」を,ここで書いてみる。 ひとは「地球の放射熱を温室効果ガスが吸収する」ということばをすんなり受け入れているが,肝心なのはこのことばの内容である。 「熱を吸収する」のロジックはどの温室効果ガスでも同じなので,CO2 で話を進めよう。 CO2 の「温室効果」とは,地球が放射する熱 (赤外線) を CO2 分子が吸収する現象を謂う。 ここで CO2 分子が熱を吸収するとは,赤外線のエネルギーが CO2 分子の内部エネルギーに変換されるということである。 ところでその「内部エネルギー」には,準位というのがある。 エネルギー準位はとびとびになっていて,準位nからつぎの準位n+1に上がることは,二つの準位の差に相当するエネルギーを吸収することである。 よって,つぎのようになる:
CO2 分子の内部エネルギー準位差に等しいエネルギーをもつ赤外線のこと》 赤外線は,周波数でそのエネルギーが決まる。 よって,つぎのようになる:
そこで,「温室効果ガス濃度2倍は温室効果2倍」の言に対しては,つぎの異論が立つことになる:
実際,「 CO2 分子が吸収する周波数の赤外線は,いまある CO2 分子がほぼ吸収し尽くしている」を Wijngaarden & Happer (2020) が示してみせた。 ちなみにその論文は計算式が満載で読むのが大変だが,計算式満載は反論封じの proof (防御) である。 というのも,「温室効果ガス濃度2倍は温室効果2倍ではない」は,これの一般論のカテゴリーになるところの「吸収線スペクトル」の含蓄であり,よって科学では常識のうちということになるからである。 「温室効果ガス濃度2倍は温室効果2倍」を唱えている気象学者が,そもそも非常識なのである。
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