|
数値予報結果の誤差の原因は大きく2つに分けられ、ひとつは初期値に含まれる誤差が拡大すること、もうひとつは数値予報モデルが完全ではないことです。
数値予報では、わずかに異なる2つの初期値から予報した2つの予報結果は、初めのうち互いによく似ていますが、その差は時間の経過とともに拡大します。これは、大気の運動にある特徴的な性質「初期値の小さな差が将来大きく増大する」というカオス(混沌)的な振る舞いのひとつです。実際の数値予報では、観測データの誤差や解析手法の限界から、初期値に含まれる誤差をゼロにすることはできず、時間とともに誤差が拡大することを避けることはできません。
また、数値予報では、計算機の性能の限界により、ある大きさの格子を用いた近似式で気温や風等の予測計算を行います。このように近似式を使っていることからも、予報結果に誤差が生じます。
このような誤差の拡大を事前に把握するため、「アンサンブル(集団)予報」という数値予報の手法を利用しています。この手法では、ある時刻に少しずつ異なる初期値を多数用意するなどして多数の予報を行い、平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて気象現象の発生を確率的に捉えることが可能となります。
|