- 原初仏
「真言密教でも、ある時期になると、大日如来という根本の仏さまを考えるようになりました。
これは釈尊とはちがいます。
釈尊は、歴史的人物です。ルンピニーの園に生まれ、ブツダガヤーでさとりを開き、教えを説いて、クシナーラーで亡くなりました。
しかし、それは仮の姿なのである、根本には不滅の仏さまがある、と大乗仏教では教えるようになったのです。
このような根本の仏を求める動きのゆきつくところとして、大日如来を考えるようになったのです。
「大日」というのは、もとのことばでマハーヴァイローチャナ (Mahavairocana) といい、「マハー」とは偉大な、「ヴァイローチャナ」とは太陽の、という形容句です。だから、「大日」と訳されたのです。
あらゆるものはこの根本の仏さまに基づいて現れていると考えられました。
大日如来の観念は、すでに密教以前に準備されていたもので、それを説いている前段階の経典として『華厳経』が考えられます。
『華厳経』の中心の仏は、毘盧遮那仏といわれますが、それは先ほどの「ヴァイローチャナ」の音を写しているだけなのです。‥‥
‥‥ 『華厳経』というのは、‥‥汎アジア的な、偉大な経典でした。
この偉大な経典の説く教えに基づいて、真言密教の大日如来の観念が確立したのです。」
(中村元『密教経典・他』, pp.73-75.)
- 教令輪身
- 教化しがたい衆生を導くために大日如来が方便として現した身
- 不動明王
- 法身
- 宇宙の仏格化
- 特に,普門(総徳)の仏
一門(別徳)の諸仏・諸菩薩は,大日如来が姿を変えて現れたもの
- 図像
- 金剛界大日如来 (← 金剛界曼荼羅):智慧法身
- 胎蔵大日如来 (← 胎蔵曼荼羅) :理徳法身
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