Up 米輸入自由化前夜 作成: 2024-09-07
更新: 2024-09-07


    日本の米作は,米輸入を制約する各種制度と高い関税で守られている。
    主食米 (ジャポニカ米) の輸入量は,国内消費量に対する割合で見れば,無いにひとしい。

    この制約が無いと,主食米の輸入はどうなるか?
    価格で有利な輸入米が,米市場に大きく割り込んでくる。
    ひとは輸入主食米に「安かろう悪かろう」のイメージをもっているかも知れぬが,これは間違い。
    「カリフォルニア産コシヒカリ」が有名だが,味は国内のコシヒカリブレンド米より優るとも劣らない,となっている。
    そして,輸入が自由化されたときは,輸入業者は海外生産地での技術指導に一生懸命になり,輸入米の品質 (日本人好みの品質) は国内米に急速に追いつくことになる。

    国内米が輸入米の攻勢に対抗する方法は?
    国内の他の農畜産物がそうであるように,「高級品質 (ブランド) で対抗」しかない。


    これは,米輸入に対する制約はこれからも堅持される,ということか?
    それがそうとも言えないのである。

    主食米農政は,減反政策一途(いちず)である。
    主食米不足は常態化する。
    減反政策一途の農政は,公のことばでは出てくるわけもないが,もう匙を投げた(てい)である。

    主食米不足は,主食米の臨時輸入で対応することになる。
    主食米不足が繰り返されるようになることは,「臨時輸入」が「臨時」でなくなることである。


    近頃は国際情勢の緊迫から,「食糧安保」が叫ばれている。
    しかし「食糧安保」を制度へと具体化できる者は,いない。
    実際,主食米農政は,ずっと「食糧安保」でやってきているわけである。
    そして実際にやっていることが,減反政策なのである。
    推して知るべし。