Up 水田転用──現時点の生産調整策 : 要旨 作成: 2024-09-18
更新: 2024-09-18


    主食米生産を抑制する策としての減反政策は,廃止となった。
    減反政策の「水田で主食米をつくらない」は,「水田を遊ばせる」であった。

    いまは主食米生産抑制策を,「水田の転用」にしている。
    「水田で主食米をつくらない」を,「主食米でないものをつくる」に変えたわけである。


    この政策の要点は,「水田で」である。
    食料安全保障の立場からは,水田は無くせない──維持せねばならない。
    そこで,いつでも水田に戻せるという条件で,他の作物をつくることを促す。
    交付金が当たるのは,水田をもっていて,そしてその水田を無くさない(てい)で他の作物をつくる者である。

    よって,交付金の適用では,確かに水田であるかどうかをチェックすることになる。
    水田であることを証すものは,畦・水口・水路である。


    水田を転用してつくる作物は,「麦・大豆」「業務用米」「飼料用米」。

    「業務用米」は,中外食の米である。
    中外食産業は,安い米を求める。
    国内に安い米が無ければ,輸入米に安い米を求めることになる。
    そこで,中外食産業向けの安い米を,国内でつくらせようというわけ。


    広い水田をもつ者には,安い米を進んでつくる者もいる。
    高い米をつくるのは,手のかかることだからである
    交付金は,水田の面積が大きいほど多くなるしくみになっている。
    よって,交付金は彼らには大きなインセンティブになる。

    一般農家がどう出て来るかは,経過を見ていくしかない。
    業務用米をつくるのは,家庭向けの高い米をつくるより,一般に不利になる。
    農政の読みでは,農家はこの不利と交付金を秤にかけることになる。
    しかし,農政を「猫の目農政」と思っている農家は,この計算には軽々に乗って来ないことが見込まれるわけである。