Up ヤミ米 (「縁故米無償譲渡」) 作成: 2024-09-15
更新: 2024-09-15


    食管制度は,米配給制 (「米は政府が生産者から買い取り消費者に配給」) が根幹である。
    配給米は,品質で消費者が不公平にならないように,ブレンドする。
    しかしこれは,よい品質の米が生かされないことになる。
    よって,米不足時代のヤミ米は,米が足りる時代になっても続く。
    政府も,米の全量買い取りは財政負担が大きくなるので,ヤミ米は黙認することになる。

    食管制度は,米余りによって終わる。
    減反政策も,米余りを止めることはかなわず,廃止となる。
    ヤミ米はどうなったか?
    これはまだ残っていることになる──米流通のうちの「縁故米無償譲渡」の中で。
農水省「最近の米をめぐる状況について」, 2024. p.18 から引用:



    「縁故米無償譲渡」は,文字通りのものだとしたら,流通全体の中の割合が明らかに大き過ぎる。
    「縁故米無償譲渡」は,中身がグレーなのである。
    金・お返しが動いてもそれが外から見えなければ,「無償譲渡」が通る。
    「縁故米無償譲渡」には,これが多く入っていることになる。

    以下,「縁故米無償譲渡 115万トン」があり得ない数字であることを,計算で見ておく。


    稲作農家は,2020年で約60万戸となっている。
    これを<米生産量が平均化された稲作農家60万戸>で考えると,縁故米無償譲渡する農家の戸数は:
        60万 × (115 ÷ 727) ≒ 9万5千

    日本の全世帯数は,2020年で 5582万。
    これを<米消費量が平均化された米消費者 5582万世帯>で考えると,縁故米無償譲渡を受ける世帯数は:
        5582万 × (115 ÷ (303 + 235 + 115) ) ≒ 984万6千

    よってつぎのようになる:
      「9万5千戸の農家が 984万6千世帯に1年分の主食米を無償譲渡」
    これは,「縁故米無償譲渡をする農家が1戸当たり,消費者104世帯に,そこの世帯の1年分の主食米を無償譲渡」ということ:
        984万6千 ÷ 9万5千 ≒ 104

    もちろん,こんなことはあり得ない。
    溯って,「縁故米無償譲渡 115万トン」はあり得ない,となる。


    「ヤミ米」について留意すべきは,これは米流通の自然な形だということである。
    取引は,当事者間で自由なことが自然である。

    「ヤミ米」というネガティブな表現は,「統制」が正義にされることによる。
    「統制」が正義にされるのは,社会は共同的でなければならないからである。
    人は生まれたときから,統制・共同が正義であると洗脳される。